シミのケア方法|MBC麻布十番(皮膚科)

シミは化粧品で薄くできる?

シミは1回のケアできれいに薄くするということは難しいのですが、丁寧なケアをコツコツ行うことで、少しずつ薄くしていくことは可能です。シミを化粧品で薄くすることができるのかについてご紹介します。

化粧水

化粧水とは、皮膚に水分を与えて保湿し、皮膚を整えて滑らかにする化粧品で、主に水分や保湿成分を皮膚に補給しています。最近では、シミをケアすることを謳う化粧水も販売されており、様々な種類の化粧水が開発されています。もちろん、その化粧水を使用することも問題はありませんし、広い範囲のシミが気になるという方はシミをケアする効果がある美白化粧水を使ってみても良いでしょう。ですが、化粧水で特に重要視してほしいのは保湿です。シミが特に気になる部分には美容液やクリームを重ねることができるので、特に部分的なシミが気になるという方は、美容液やクリームにシミ対策を頼りつつ、しっかりと化粧水で保湿をして肌の調子を整えてバリア機能を高め、紫外線などによって新しいシミができたり、シミが濃くなったりしないように、まず化粧水できちんと保湿ケアをしていきましょう。

美容液

シミのケアに使いたいのが美容液です。美容液とは、その性状に粘度があり、保湿成分や美白成分などが濃縮されて作られた化粧品です。粘度があるため人工的な皮脂膜の役割をして皮膚からの水分の蒸散を抑える働きをして保湿機能を促す「エモリエント効果」があります。また、保湿機能を高めるだけではなく、美白や肌の弾力やハリを出すなど、いろいろなタイプの美容液があります。
そのため、美容液を選ぶときは、その成分に着目して美容液を選んでみてください。美容液の多くは顔全体に塗るというよりも、シミのある部分にピンポイントで重ね付けするものが多いので、濃度が高めなものが多いです。濃度が高くなると、肌に対してかぶれなどの不調が起こる可能性が高くなってくるので、自身の肌の調子に合わせて美容液を選んでみてください。

クリーム

シミのケアに使われるクリームはできているシミを薄くする効果のあるものだけでなく、新しいシミができないように対策するものやシミのケアに使われるクリームには、美容液の成分を配合しているものもあります。ピンポイントでつけるものもありますが、顔全体に塗布するものもあります。顔全体につけるものは、ムラなく全体につけていくように意識しましょう。特に目の下や頬、鼻のバタフライゾーンといわれる部分は顔の中でも高い位置にあるため紫外線によるダメージを受けやすいため、特にしっかりと塗る必要があります。また、クリームは油分を多く含んでいることもあり、クリームを先につけてしまうと化粧水の浸透などに影響を及ぼす可能性があります。説明書をよく読み、正しい順序でクリームをつけるようにしましょう。

シミに効く可能性がある美容成分

シミの対策のために化粧品を使うならば特に注目したいのはその成分です。しみに効く可能性のある美容成分を一挙ご紹介していきます。

アルブチン

アルブチンとはシミを作る細胞のメラノサイトの中でシミの元となるメラニンをつくるためのチロシナーゼという酵素の働きを阻害してくれる成分です。過剰なメラニンの生成を抑えてくれるので、シミを防ぐ効果が期待できます。アルブチンは、ハイドロキノンの分子構造を一部変化させて開発されており、厚生労働省からも認可されています。そのため、この経緯からハイドロキノン誘導体とも呼ばれています。美白を謳う化粧品の多くに含有している成分です。

トラネキサム酸

トラネキサム酸は、必須アミノ酸を元に人工合成されたアミノ酸の一種です。メラノサイト活性化因子の1つとして考えられているプラスミンという酵素を抑制することによってシミの元となるメラニンの発生を抑制し、これによってシミを薄くしていきます。トラネキサム酸は内服薬で使用されていることが多いですが、最近ではトラネキサム酸配合の化粧品も開発されています。トラネキサム酸は、シミの中でも特に治療方法が少ない肝斑に対して効果的な医薬品ですので、肝斑に悩まされているという方にはお試しいただきたいです。

プラセンタエキス

プラセンタエキスは動物の胎盤から抽出された成分でビタミン、ミネラル、アミノ酸を含んでいます。メラニン生成を抑制する効果が古くからあるとされているほか、組織の代謝促進作用も期待されています。これに加えて、保湿作用や皮膚の柔軟化作用があるとされていますが、不明点が多いことも現状です。また、プラセンタエキスは独特の香りがあることから、クリームに高い濃度で配合する事は難しいと言われており、さらに原価も高いことからプラセンタが配合されている商品が少なく、他のシミ対策の化粧品と比較して高価なものが多くなっているようです。

ビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体とは、ピュアなビタミンCを化学修飾して化粧品として使いやすくしたもののことを言います。ピュアなビタミンCは角質層のバリア機能を通過することができず、皮膚の中でその効果を出すことができなかったので、化粧品として使いにくいものでした。しかし、ピュアなビタミンCからビタミンC誘導体に化学修飾させることにより肌に浸透しやすくし皮膚の内部で吸収された後、シミを作る細胞のメラノサイトに働きかけ、シミの元となるメラニン生成の過程にある酵素反応を抑えることにより、シミを薄くしていくことができます。ビタミンCはもともと水溶性ビタミンですので、ビタミンC誘導体に変化させて化粧水としての商品が多いですが、製品によっては油に溶けやすいものにもなったので、クリームなど油性の化粧品にも使えるようになりました。

ハイドロキノン

ハイドロキノンとは、シミを作る細胞のメラノサイトに対して細胞毒性がある成分で茶色いシミの原因となるメラニンを作り出さないようにする成分で、アルブチンの数10倍~100倍の効果が期待できるとされています。日本では2001年より市販の商品にこの成分を含有できるようになりました。日本では市販の場合、厚生労働省によって2%までの含有が認められており、皮膚科で処方される医薬品と比較すると、高い効果を市販品で得ることは難しいと考えます。

トレチノイン

トレチノインは、ビタミンA誘導体の1種で、皮膚の表層にある古い角質をはがして皮膚の生まれ変わりを促す皮膚のターンオーバーを促進させます。表皮の細胞を活発に増殖させる働きもあるため、表皮の細胞がどんどん押し上げられていき、メラニンを含んだ表皮細胞を体外から排出させる効果があります。これによってシミを薄くしていく効果が期待できます。トレチノインは美容液やクリーム、ゲル状のものがあり、シミの部分にだけ使用するタイプが多いです。トレチノインにはいくつかの種類の濃度があり、場合にによっては、その効果が強く出て極度な皮膚の乾燥を経験させる方もいらっしゃいます。いつも以上に保湿ケアをしっかりしたり、または週2~3回使用するなど使う頻度を減らしてみたり、工夫してトレチノインを使用してみるのが良いかもしれません。

シミを化粧・メイクで隠す方法

コンシーラーの活用

コンシーラーはシミやニキビ跡を隠すために作られた化粧品です。フェイスパウダーやファンデーションなどでは隠しきれないシミや広い範囲のシミなども隠すことができるため、シミが気になるという方は活用されるとよいでしょう。
コンシーラーにもさまざまな形状があり、さまざまな種類があるので自分の使いやすいものや、シミの範囲などに合わせて活用されてみてください。

フェイスパウダーの重ね塗り

フェイスパウダーを重ねて塗ることで、シミの部分を目立たなくするという方法もあります。ですが、パウダーを重ね塗りすることで、その部分の毛穴をふさいでしまうため、ニキビを作り出すリスクがあります。そのため、フェイスパウダーを重ね塗りするならば短時間とし、メイクをする必要性がなくなったらすぐにクレンジングをして毛穴の詰まりを解消するようにしましょう。

シミのケアは皮膚科へ相談

化粧品でシミを隠すという方法もありますがこれは一時的な対策にすぎません。また、市販の化粧品でシミを薄くする効果のあるものを使い続けるという方法もありますが、医薬品と比べて濃度が低いため、効果を実感できるためにかなりの月日を要します。そのため、シミのケアをしたいと思われている方は皮膚科へ相談することをおすすめします。皮膚科では、市販の化粧品に使用されている美容成分を配合したお薬でも、濃度が高いものを処方できるため、市販品よりも効果を実感することができます。また、化粧品以外にもレーザーやイオン導入など様々な治療方法を選択することができるということも特徴です。
シミを本気で改善したいと考えている方はお早めに、皮膚科へご相談ください。

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監修医師

立花 義浩

資格
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医
麻酔科標榜医
日本医師会産業医
日本体育協会スポーツドクター
経歴
北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。