部位別のニキビ・吹き出物の原因|MBC麻布十番(皮膚科)

ニキビができるメカニズム

ニキビや吹き出物の原因を知るためにまずは、ニキビや吹き出物ができるメカニズムについて解説していきます。

過剰な皮脂分泌

皮脂が過剰に分泌されることで毛穴が詰まる原因となってしまうのです。皮脂が過剰に分泌される原因は、ホルモンバランスの乱れ、もともと皮脂の分泌量が多い肌質(脂性肌)、糖分や油分の多い食生活が考えられます。ホルモンバランスが乱れる原因としてはストレスや睡眠不足、によるものが考えられます。年齢的に皮脂の分泌が盛んであるため、皮脂が過剰に分泌されてしまうのです。

毛穴の詰まり

ニキビの初期段階は毛穴が詰まった状態であり、この毛穴に皮脂が詰まった状態のことを面皰といいます。白ニキビと呼ばれることもあるためイメージがつく方も多いのではないでしょうか。
そもそも皮脂は、皮脂腺から分泌されます。この皮脂腺は毛穴に向かって開口しているので、皮脂は毛穴を通って角層の表面へと広がるしくみになっています。この時に、角層へ広がらずに毛穴で滞ると、どんどん毛穴が詰まっていき、面皰を形成してしまうのです。
毛穴の詰まる原因は皮脂が過剰に分泌されること以外にも、角質層が厚くなってしまった結果として、皮脂の出口である毛穴をふさいでしまうことも原因のひとつと考えられています。乾燥や皮膚のターンオーバーが低下することで、角質層がどんどん厚くなってしまうのです。

アクネ菌の繁殖

アクネ菌とは、ニキビの原因になる菌です。アクネ菌は常在細菌といい、もともと人の皮膚に存在している菌です。アクネ菌は嫌気性菌といい、酸素が苦手な菌となるため酸素にあたると死滅してしまいます。そのため、アクネ菌が存在しているだけではニキビの原因にはなりません。アクネ菌は酸素が嫌いなので普段は毛穴や皮脂腺の中に存在し、皮脂を餌にしながら、プロピオン酸や脂肪酸というものを作り出しています。これらは、皮膚表面を弱酸性に保つ効果があり、皮膚に付着する病原性の強い細菌の増殖を抑える役割があります。ですので、アクネ菌は増殖しなければ、肌を他の菌から守ってくれる良い働きをしているのです。しかし、アクネ菌は皮脂が豊富で酸素が少ない環境となると増殖してしまいます。つまり、毛穴が詰まってしまうことで、毛穴の中は酸素が少ない上に皮脂が豊富となるため、アクネ菌が繁殖しやすい環境となってしまうのです。

毛穴周りの炎症

詰まった毛穴の中でアクネ菌が増殖していくと、アクネ菌の代謝物であるポルフィリンが発生します。このポルフィリンは紫外線と反応すると活性酵素が発生するのですが、この活性酵素は、毛穴に詰まった皮脂を酸化させ、炎症を引き起こす過酸化脂質となります。これがニキビに炎症を起こすいわゆる赤ニキビの原因となるのです。さらにこの過酸化物質が周囲組織を破壊していくことで、炎症が進行してどんどんニキビが悪化していってしまいます。皮脂は酸化すると黒く見えるようになるため、皮脂が酸化した状態を黒ニキビ、炎症を起こした状態を赤ニキビと呼ぶこともあります。

次からはニキビができる部位別に、ニキビのできる原因を詳しく解説していきます。

おでこ・こめかみにできるニキビの生活習慣上の原因

まずは、おでこやこめかみにニキビができる原因を生活習慣に着目して解説していきます。

ワックスなどの整髪剤のすすぎ残し

ヘアスタイルを整えるためにワックスなどの整髪剤を使用している場合、その整髪剤がおでこやこめかみにニキビを作る原因となっているかもしれません。
ワックスや整髪剤を使用した後は充分にすすぐことが必要ですが、シャワーなど入浴を急いでいるので、整髪剤を充分にすすぎきれなかったということもあります。整髪剤が充分にすすぎきれずにおでこやこめかみといった髪の生え際に残ってしまうと、その残った整髪剤を餌としてアクネ菌が増殖してしまい、ニキビを作り出してしまうのです。また、ワックスなどの整髪剤をつけた髪の毛がおでこやこめかみにあたるようなヘアスタイルをしていると、髪についてる整髪剤がおでこやこめかみに付着してしまいます。整髪剤やワックスが付いた髪の毛は、汚れも付着しやすいので、髪についたワックスや汚れを餌にしてアクネ菌が増殖し、ニキビを作り出してしまうのです。特に油分の多い整髪剤やワックスは、ニキビを作り出す原因にもなってしまうので、おでこやこめかみにニキビができやすいが、整髪剤が必要という方は、油分の少ないものを選ぶことがおすすめです。おでこやこめかみにニキビができているとそのニキビを隠そうとしてどうしても髪の毛をおろしたヘアスタイルを作りがちですが、ニキビを隠そうとせず、前髪を上げたヘアスタイルをすることがニキビを作らず、作ったニキビを早く治すための有効な方法であるといえます。
ほかにも、整髪剤が肌に合っていないこともニキビを形成する原因となってしまうので、整髪剤が肌に合っていないと感じた場合には使用を中止するのも良いでしょう。

シャンプーのすすぎ残し

シャンプーのすすぎ残しがあると、残ったシャンプー剤が毛穴を詰まらせて、ニキビを作る原因となってしまいます。額は特に皮脂の分泌量が多い部分のため、シャンプー剤が残ると毛穴を詰まらせやすくしてしまいます。もともと皮脂の分泌量が多いという方や、乾燥しやすいという方は特に注意が必要です。
そのため、シャンプー剤はしっかりとすすぐようにしましょう。シャンプーだけでなくコンディショナーやトリートメントのすすぎ残しにも注意が必要です。
もしも、シャンプー剤やコンディショナーのすすぎ残しが不安という場合には、シャンプーをしてから洗顔をするという方法も良いでしょう。

鼻・顎にできるニキビの生活習慣上の原因

次に、鼻や顎にニキビができてしまう時に考えられる生活習慣上の原因についてご紹介します。

落としそこなったメイク汚れ

鼻はそもそもニキビができやすい部分であるといえます。その理由としてまず1つ目は鼻も、おでこと同様に顔の中で皮脂の分泌量が多いためです。2つ目は、毛穴の量が多いためです。3つ目は鼻の構造です。鼻は、顔の中でも小鼻や鼻筋などによって凸凹とした部分となります。そのため、クレンジングをしてもメイクがなかなか落ちにくい部分になります。この落とし損ねたメイクの汚れをアクネ菌が餌として増殖する原因となります。
この3つの原因によって鼻のニキビはできてしまうのです。また、顎の部分もメイクを丁寧に落とすことが少なく、落とし損ねることがある部分であり、これによってニキビを形成してしまいます。
鼻や顎のニキビを防ぐためにはメイクをしっかりと落とすことが必要となります。日本皮膚科学会ではニキビの予防、改善のためのクレンジングとしてオイルクレンジングを安全に使用できるクレンジング剤の一つに挙げています。オイルと聞くと油ですので皮脂を詰まらせる原因になりそうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では、オイルクレンジングでニキビの個数が改善したという報告がされています。また、オイルクレンジング使用によってニキビが悪化したという報告も挙がっていません。

鼻を触ることによる雑菌の付着

鼻は顔の中でも目立つ部分ですので、つい気になってニキビを触ってしまうという方も多いのではないでしょうか。手は石鹸でしっかりと洗っていなければ雑菌がついていて不潔な部分となります。その不潔な手でニキビを触ることによって、ニキビを悪化させてしまいます。

頬・口元にできるニキビの生活習慣上の原因

頬や口元にできるニキビは生活習慣上、どのような原因があるのかをご紹介します。

皮脂分泌の少ない頬の乾燥

頬と口元は、皮脂の分泌量が少ない部分のため、乾燥しやすいです。肌は乾燥すると潤わせようとして皮脂を過剰に分泌させようとします。そうすると、過剰に分泌された皮脂によって毛穴が詰まり、ニキビを作ってしまします。それだけでなく、乾燥するとターンオーバーが乱れて角質が厚くなり、皮脂がさらに詰まりやすくなってしまい、ニキビを誘発してしまいます。特に口元のニキビは炎症が起こりやすい部分とされているため、ニキビが悪化しやすい部分です。

口紅・チークなどのメイク汚れ

口紅やチークといったメイクによる汚れもニキビの原因となります。口元や頬は、口紅やファンデーションやチークなどメイクを塗り重ねる部分となります。そのため、メイクが残りやすく、そのメイクと皮脂が混ざり合うことで、汚れにつながり、アクネ菌の餌となります。
また、クレンジングをする際に口紅を強い力で落としてしまうと、その摩擦で乾燥を助長してニキビを作りやすくしてしまうこともあります。

背中にできるニキビの生活習慣上の原因

最後に背中にできるニキビの原因について解説していきます。

ボディソープの洗い残し

ボディソープで身体を洗った後にしっかり洗い流さないと、残ったボディソープがニキビの餌となり、アクネ菌が繁殖する原因となります。ボディソープだけでなく、シャンプーやトリートメントの洗い残しもニキビの原因となってしまうのです。
背中は自分では見えにくいため、なかなかケアをしにくい部分ですが、ボディソープやシャンプー、トリートメントを意識的に流すようにしていきましょう。

浴用タオルやボディブラシによる強い刺激

浴用タオルやボディブラシでごしごしこすると、それが刺激となり、ニキビの原因となります。また、皮膚への摩擦は乾燥を助長するため、この乾燥が皮脂の分泌量を増やし、ニキビを作る誘因にもなるのです。
背中を洗う時はごしごしこすらず、浴用タオルで泡を作って、なるべく泡で優しく洗うことがおすすめです。

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監修医師

立花 義浩

資格
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医
麻酔科標榜医
日本医師会産業医
日本体育協会スポーツドクター
経歴
北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。