掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは?

掌蹠膿疱症はウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気で、周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
重症な患者さんでは下腿(すね)や膝、稀ですが体にも出ることがあります。私たちは、これらをまとめて掌蹠外皮疹と呼んでいます。
掌蹠外皮疹が認められる症例は比較的少なく、一般に、手や足より容易に治療することができるので、あまり心配しなくてよいと思います。
皮疹は小さな水ぶくれ(水疱)が生じ、次第に膿疱に変化します。この膿疱の中には細菌(ばい菌)や真菌(カビ)などの菌はいません。
したがって、手足から体のほかの部位に感染することはありません。その後、かさぶた(痂皮)となり、角層(皮膚の最表層にある薄い層)がはげ落ちます。
後にこれらの皮疹が混じった状態になります。
また、約10%の患者さんは関節や骨に炎症があり、痛むことがあります。この症状は胸骨と鎖骨、肋軟骨の結合部(胸鎖肋関節)に最も多く認められますが、その他、首や腰などにも生じることがあります。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の原因

患者さんのうち2~3割は病巣感染や金属アレルギーが関与していることがわかっていますので、積極的に検査して、治療すれば掌蹠膿疱症も治癒が期待できます。
残念ながら、患者さんのうち7~8割は検査をおこなっても原因を突き止めることができません。

①病巣感染

扁桃腺や歯、鼻などに細菌による慢性炎症があると掌蹠膿疱症が生じることがあります。自覚できる症状がなくても、耳鼻科や歯科の診察で初めて病巣感染がみつかることもあります。

②金属アレルギー

海外での報告は少ないのですが、日本では歯科金属(パラジウムなど)に対するアレルギーが引き金となり掌蹠膿疱症が発症した事例が報告されています。
病巣感染がないのに治りにくい場合や、金属アレルギーが疑われる場合は、パッチテスト(疑われる金属を実際に皮膚に貼り皮膚反応があるかどうか調べる検査)を受けて下さい。

③喫煙

掌蹠膿疱症の患者さんのうち、約80%の人が喫煙者です。禁煙により症状が改善する方と、しない方はおりますが、健康を考え禁煙をお勧めします。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の治療

病巣感染や金属アレルギーなど、病気を悪化させる要因があれば取り除くようにします。もし、これらの増悪因子がみつからない場合は、対症療法を行ないます。
まず外用療法を選択します。かゆみが強かったり、新しい皮疹がたくさん出る場合は強いステロイド軟膏を使用し、良くなってきたら弱いステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏に変更します。
しかし、ほとんどの症例が自然に治ってしまうことがわかっています。治るまでの期間は報告によって異なりますが、平均で3~7年とされています。ですので、それまでは対症療法により症状を軽くして、生活する上で支障がない程度にコントロールするのも一つです。

【保険による診療】

ステロイド外用(数ヶ月間~数年間の長期使用)
角化が顕著な場合 活性型ビタミンD3(数ヶ月間~数年間の長期使用)
亀裂などを伴い、疼痛のある場合 ドレニゾンテープなどのステロイドテープ
ビタミンH製剤(ビオチン)の内服
抗菌薬内服
エキシマライト

掌蹠膿疱症の症状詳細

掌蹠膿疱症では、手のひらや足の裏に以下のような症状が現れます。

  • かゆみ:初期に強く感じることが多い
  • 痛み:膿疱が破れたりひび割れができると痛みを伴う
  • 水疱から膿疱への変化:透明な水疱が次第に黄色い膿疱になります
  • 皮膚の厚みや角質肥厚:皮膚が硬く厚くなり、ひび割れを起こすことがあります

また、約10%の患者さんには胸鎖関節や首、腰などに関節痛が現れることがあります。
・胸骨のあたりに痛みや腫れを感じた場合は早めにご相談ください。

掌蹠膿疱症の経過と完治について

掌蹠膿疱症は、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気であり、自然寛解することもありますが、多くの場合、症状が完全に消えるまでに数年かかることが多いです。

  • 平均的な寛解期間:3~7年程度

治療により症状をコントロールし、日常生活への支障を最小限に抑えることが可能です。

掌蹠膿疱症と生活習慣の関係

喫煙

掌蹠膿疱症患者さんの約80%が喫煙者というデータがあります。
禁煙することで症状が改善する可能性があるため、禁煙をおすすめします。

飲酒

飲酒が直接の原因になることは少ないですが、過剰な飲酒は免疫バランスを崩し症状悪化につながることがあります。

ストレス・睡眠不足

ストレスや睡眠不足も悪化要因のひとつです。
規則正しい生活とストレス解消を心がけましょう。

紫外線療法(光線療法)について

掌蹠膿疱症には、エキシマライトやナローバンドUVB療法といった紫外線療法が効果的とされています。

  • 通院頻度:週1~2回
  • 治療期間:数ヶ月から1年以上継続することが多い
  • 紫外線療法は皮膚の炎症を抑え、皮疹の改善を促します。副作用が少なく、安全性の高い治療法です。

生物学的製剤(注射薬)による治療

難治性の掌蹠膿疱症には、生物学的製剤が使用されることがあります。
IL-17阻害薬(例:セクキヌマブなど)

  • 投与方法:2~4週間ごとの皮下注射
  • 副作用:感染症リスクが増えることがあります。発熱や倦怠感がある場合はすぐに受診してください。
  • 費用:高額療養費制度を利用することで自己負担が軽減されます。詳しくは受付へご相談ください。

他疾患との関連

掌蹠膿疱症は、扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎などの病巣感染が原因となることがあります。
また、関節症性乾癬との鑑別が必要な場合もあるため、関節痛がある場合は医師へお伝えください。

よくある質問Q&A

仕事で水仕事が多いですが悪化しますか?

A. 水仕事による皮膚への刺激で症状が悪化することがあります。
ゴム手袋の中に綿手袋をして作業するなど、肌を保護しましょう。

皮膚科と歯科、耳鼻科どちらを先に受診すべきですか?

A. まずは皮膚科を受診してください。必要に応じて病巣感染の有無を確認するため、歯科や耳鼻科受診をご案内します。

掌蹠膿疱症は人にうつりますか?

A. 掌蹠膿疱症は感染症ではないため、人にうつることはありません。

自己判断でステロイドをやめてもいいですか?

A. 症状が改善しても、自己判断で中止すると再発することがあります。
必ず医師と相談してから変更してください。