ニキビ跡の赤みの原因とその解消法|MBC麻布十番(皮膚科)

ニキビ跡の赤みが引かない理由・原因

ニキビ跡の赤みが引かず、なぜずっと赤くなっているのか、その理由や原因を詳しく解説していきます。

毛穴の周りの過剰な炎症反応と細胞修復のため毛細血管が大きくなるため

赤みを帯びたニキビ跡は、炎症から回復するときに起こる局所の血流増加に伴って赤みが続く状態のことを言い、皮膚の少し深いところで、毛細血管が拡張していると考えられています。ニキビが悪化しているときは、毛穴でアクネ菌が異常増殖していて、そのアクネ菌の異常増殖を抑えるために免疫細胞が毛穴の周りで増えています。この免疫細胞が酵素などを作りだしていて、それが皮膚に残ってしまい、赤くなると言われています。又、この状態によって、毛穴の周囲の細胞が傷ついてしまうことがあり、その傷を癒すために、毛穴周囲の毛細血管が拡張したり、毛細血管が集まることがあると考えられているのですが、顔の皮膚は薄いため、この毛細血管内の血液中に含まれているヘモグロビンが、赤く、透けて見えるのです。これによって、ニキビが改善した後でも、ニキビの跡が赤く見えるいわゆる赤ら顔という状態になるのです。

萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)

赤みを帯びたニキビ跡の中には、傷あと、いわゆる瘢痕を形成することがあり、その多くは、皮膚の凹みをきたす萎縮性瘢痕とよばれる状態になります。萎縮性瘢痕とは、炎症性皮疹や面皰が良くなった後に残る、毛穴に一致した凹みのある傷あとです。萎縮性瘢痕ができる原因は、炎症に伴って、脂腺や毛包が破壊され変化すること、その他にアクネ菌と戦う免疫細胞が酵素を作り出して、皮膚の深いところを破壊していくことがいわれています。もし、萎縮性瘢痕ができてしまった場合、自然軽快は今の段階では難しいですが、その軽減をする方法として、ケミカルピーリング、ヒアルロン酸などの注入の有用性が報告されています。また、レーザー治療など皮膚組織のターンオーバーを促進させる治療も有効であるといわれており、その施術では、皮膚組織の再構築することで皮膚の表面を平らにしていき、瘢痕組織を減らしていく効果が期待されています。
その他の赤みを帯びたニキビ跡の種類として、肥厚性瘢痕という種類のニキビ跡があります。肥厚性瘢痕とは炎症が起こり、その炎症が長く続いてしまうと皮膚を作る線維芽細胞が過剰に産生され、その線維の増生によって傷が赤くなって盛り上がった状態のことを言います。ニキビの場合、赤ニキビによる炎症が長く続いた場合に、肥厚性瘢痕を形成する確率が高くなります。赤ニキビによる炎症によって皮膚の深い部分まで傷つけられてしまい、これを回復する過程で、ニキビの跡が赤くなり盛り上がってしまうのです。手術をしたことのある方は、手術をした傷跡が手術からしばらくたっているのに赤みを帯びて盛り上がり、その傷を超えて周りの皮膚に病変が広がったという経験をされたことのある方もいらっしゃるかもしれません。この時の傷跡をケロイドとも呼ぶのですが、このケロイドがメカニズムとしては肥厚性瘢痕と同じです。ニキビによってできた肥厚性瘢痕とケロイドの治療に関しては、ステロイド局所注射やレーザー治療が有効といわれています。

なるべく早くニキビ跡の赤みを消す方法

できてしまったニキビ跡の赤みをなるべく早く消したいという方にニキビ跡の赤みを早く消す方法をご紹介します。

赤みは免疫細胞によるダメージを受けた皮膚の修復過程の証

赤みのあるニキビ跡の1つの原因として、細胞の修復過程で生じるものであり、徐々に赤みは薄くなっていきます。そのため、細胞の修復を手助けしてあげることが、ニキビ跡の赤みを早期に改善させるポイントとなるといえるのです。特に、毛細血管がニキビに集約して細胞修復をする際に血液中のヘモグロビンが皮膚組織の奥に沈着してしまえば、赤みの改善は遅れてしまいますので、早期の細胞修復ができるように助けてあげましょう。細胞修復を早めるためにできるケアは以下の通りです。

ビタミンC導入

ニキビ跡にはさまざまな種類のニキビ跡があるのですが、特に赤みの残るニキビ跡に行いたいケアがビタミンC導入です。ビタミンC(別名:アスコルビン酸)は抗炎症作用といい、炎症を鎮める効果が期待できます。ほかにも、コラーゲンの産生促進効果があるため、ニキビ跡の再生を促進する効果が期待できます。そのため、まだ皮膚の奥底で炎症が続いており、ニキビ跡を治すためにコラーゲンの生成が行われている赤みのあるニキビ跡にはぜひとも活用したい成分なのです。
ビタミンCの効果をお肌に着実に出していくために、ビタミンCを肌の上からたっぷりと導入していきたいのですが、ビタミンCの美容成分、アスコルピン酸は成分構造上、不安定ということもあり、長期保管ができず、化粧品に成分を含有することが難しくなります。また、ビタミンCの分子量が大きいことから、角質層のバリアを突破することができず、皮膚に浸透することができません。そのため、ビタミンCを効果的に肌の上から塗布するために使用したいのがビタミンC誘導体です。ビタミンC誘導体はビタミンCを化学修飾することによって化粧品などとして扱いやすくし、使用できるようにしたものです。化粧品として皮膚に塗布し、皮膚の中に吸収されてから徐々に分解されてビタミンCとしての作用を発揮するため、着実に効果を得ることができます。一部のビタミンC誘導体は厚生労働省も認可しているため安心して使用することができるということも特徴です。

ピーリング

赤みのあるニキビの対策として行いたいもう一つの方法がピーリングです。ピーリングとは、肌に薬剤を塗布して皮膚をはがすことによって皮膚のターンオーバーを促進したり、皮膚の表面や毛穴部分の古い角質やくすみを取り除いて、皮膚を再生させたりする方法です。ニキビ跡に対して行うことによって皮膚のターンオーバーを早め、炎症を起こした古い肌細胞を体外に押しあげて排出することが期待できます。
ピーリングは市販のピーリング剤を使用して行ピーリングのほか、医療機関で行えるケミカルピーリングがあります。ケミカルピーリングは使用する薬剤は、市販で購入できるピーリング剤と同じなのですが、その方の肌質に合わせて薬剤や薬剤の濃度を調整していきます。ピーリングを行ったことによって肌があれるなどの副作用が生じる方もいらっしゃいますので、市販のピーリング剤を使用してセルフでピーリングをされるよりも、医療機関で皮膚の専門家である皮膚科医の診察及び手技の下でケミカルピーリングを受けられることをおすすめします。

凹んでしまったニキビは皮膚科に相談

赤みのあるニキビ跡は赤いまま残り続けると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、赤みのあるニキビ跡が凹むこともあります。ニキビ跡の炎症が続いて赤く残るのは6か月程度としています。このまま炎症が続くと、皮膚の細胞をさらに破壊してしまうため、再生が難しくなり、陥没したニキビ跡になってしまいます。陥没したニキビ跡を自力で修復することは非常に難しいため、赤みのあるニキビ跡がいつの間にか凹んでいたという場合には早めに皮膚科へ相談し、医療の力を借りて修復することをおすすめします。

ニキビ跡のためのスキンケア方法

ニキビ跡をなるべく早く改善するためには日ごろから意識してスキンケアをしていくことがポイントです。ニキビ跡のためのスキンケア方法についてご紹介します。

洗浄力を敢えて落としたクレンジング

特に、赤みのあるニキビ跡はまだ炎症が続いていることや、皮膚が膨らんでいるということもあり、皮膚がさらに薄くなりデリケートになっている部分となります。そのため、過剰な摩擦などの刺激によってニキビ跡が悪化する可能性もゼロではありません。ですので、あえて洗浄力を落として優しくクレンジングをすることがおすすめです。クレンジング剤は洗浄力を落としたとしてもメイクを充分にクレンジングすることが可能です。特におすすめしたいのがオイルタイプのクレンジングです。オイルタイプのクレンジングは、すべりがよく、肌に負担をかけずに毛穴の汚れも落とすことが可能です。

ぬるま湯で、洗顔料はしっかり泡立てて、肌にやさしい洗顔

クレンジングが終わったら洗顔です。洗顔は、ぬるま湯を使って洗顔をしましょう。冷たい水の場合は油脂を洗い流すことができないためクレンジング剤が肌に残ってしまう可能性があります。また、熱いお湯の場合では皮脂を洗い流して皮膚の乾燥につながる可能性が懸念されています。そのため、洗顔をするときには、36度程度がベストであるとしています。また、もしも洗顔やクレンジングを使用しない場合は32度程度がベストとしています。
又、洗顔時に洗顔料を使用してしっかりと泡立てて使用することで、洗浄力を高め、力をかけずに泡をなでる程度で汚れを落とすことができるため、肌に負担をかけずに優しく洗顔をすることができます。ぜひ、お試しください。

手の温度であたためた化粧水&美容液

洗顔が終わったら保湿やビタミンCの導入のために化粧水や美容液を使用しますが、この時には、手の温度であらかじめ化粧水や美容液を温めることをおすすめします。化粧水や美容液は温めることで肌への浸透率がアップします。化粧師や美容液を確実に浸透したい場合には、つける前に手で化粧水や美容液を温めましょう。

ニキビ跡の赤みを薄くするための簡単セルフケア

ニキビ跡をセルフケアで完全に消すということは難しく、早いうちに医療の力を借りるべきですが、すぐに医療機関を受診できないという場合には、ニキビ跡をセルフケアで薄くすることはできます。ニキビ跡を薄くするためのセルフケアについて解説していきます。

睡眠不足を解消する

睡眠中には皮膚の代謝を促して組織を修復したり、ホルモンバランスを整えたりとさまざまな役割をはたしています。そのため、睡眠不足を解消することで肌の代謝が促進され、ニキビ跡の赤みを早く引かせる可能性があります。特に眠り始めてから3時間の間に起こるノンレム睡眠は成長ホルモンの分泌が活発となるため、肌の再生が盛んになります。この時間に質の良い睡眠がとれるよう、眠る環境を整えておくとよいでしょう。

過剰なストレスから開放する

ストレスがかかるとホルモンのバランスが乱れ、ターンオーバーが規則正しく行われなくなる可能性があり、ニキビ跡の赤みが悪化する原因にもなります。ですので、過剰なストレスから適宜自分を解放してあげる時間を作りましょう。

偏った食事をやめる

食生活はニキビ跡の改善に加えてニキビの原因にも関係しています。脂質の多い食事に偏りがちという方は、脂質の過剰な摂取を控え、バランスの取れた食生活を心がけましょう。特に、ニキビ跡を改善させたいと悩まれている方に摂取していただきたいのが、ビタミン類です。ビタミンB2・ビタミンB6には新陳代謝を促進してくれますしビタミンAは肌のターンオーバーを整える効果が期待されています。ビタミンEは血行を改善することに役立ちますのでぜひ積極的に摂取していただきたいものです。これを食べたからといってニキビを悪化させるあるいはニキビ跡が治りにくくなるという食事はありません。偏りをなくしてバランスの良い食事を心がけてみてください。

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監修医師

立花 義浩

資格
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医
麻酔科標榜医
日本医師会産業医
日本体育協会スポーツドクター
経歴
北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。