円形脱毛症の種類と治療方法|MBC麻布十番(皮膚科)

円形脱毛症のタイプ

円形脱毛症は、さまざまなタイプがあります。まずは、円形脱毛症にはどのようなタイプがあるのか詳しく解説していきます。

単発型

単発型は一部分がコインのように丸く脱毛するタイプの脱毛症で、十円ハゲといわれるのもこの単発型です。円形脱毛症というとこのタイプの脱毛症をイメージする方が多いかもしれません。その大きさは、異なり、コインのように小さく丸いこともあれば、楕円型になったり、円形ですが大きく脱毛したりすることもあります。治療をしなくても回復する可能性があるのですが、悪化して多発型などに移行していく可能性もあります。

多発型

多発型とは、先ほどの単発型がたくさんできるタイプの脱毛症のことをいいます。一般的に2つ以上の円形脱毛症が見られると多発型に分類されます。多発型は脱毛している部分が融合したり拡大や縮小をしたり、再発を繰り返したりすることで慢性に経過していくことが特徴です。単発の場合よりも自然に回復することは難しいとされています。

蛇行型

蛇行型とは頭髪の生え際が帯状に脱毛していくタイプの脱毛症のことをいいます。後頭部、側頭部、生え際に起こりやすいという特徴があります。さまざまな種類の脱毛症の中でも少ないタイプの脱毛症です。

全頭型

全頭型とは頭部全体に脱毛が起こることを言います。もともと多発型であった脱毛が頭部全体に拡大していき、脱毛部分が重なったことによって頭部全体に脱毛が起こってしまうのです。

汎発型

汎発型とは、頭部だけでなく全身に脱毛が及ぶタイプの脱毛症のことをいいます。眉毛やまつ毛、ひげ、体毛などが抜け落ちてくことが特徴です。

このさまざまな型の中でも蛇行型、全頭型、汎発型は難治であるとされています。

円形脱毛症の治療法

円形脱毛症であった場合にどのような治療を行うのかを解説していきます。

外用薬

円形脱毛症の治療の中で最も一般的な治療方法で、保険適用となる治療方法です。円形脱毛症で使用する外用薬にはステロイド外用薬、ミノキシジル、カルプロ二ウム塩化物の外用が行われます。円形脱毛症の初期段階であり脱毛の範囲が小さい場合には、ステロイドや塩化カルプロニウムの外用薬が保険適応で行われる治療になります。
ステロイドの外用については単発型から脱毛部分が融合していない多発型の円形脱毛症に対しては高い効果が得られることが分かっています。それだけでなく全頭型や汎発型のタイプの円形脱毛症の方でも、臨床試験では、高い効果が得られており、これらのタイプの円形脱毛症にも治療として用いられることが特徴です。ですが、塗布部分に副作用として皮膚の萎縮や血管拡張、陥凹をきたすことがあるので注意深く経過を見て治療をしていく必要があります。
ミノキシジルとは発毛効果が期待でき、且つ抜け毛の進行抑制の両方に効果があるお薬で世界90ヵ国以上で承認され使われているものです。ですが、頭皮全体の25~49%脱毛している症例には無効であるとの考え方もあり、単発型や多発型に対して併用療法の1つとして行われています。保険適応外の治療になります。
カルプロ二ウム塩化物とは脱毛症に対して作られたお薬で、フロジン液という名称で流通しています。毛根における血行を促進し頭皮の抜け毛を予防と発毛促進する効果が期待できます。単発型や多発型の症例に対し、内服薬などとの併用療法で発毛効果があると臨床試験で示されており根拠としては弱いとの見方もありますが、国内では膨大な治療成績があり、安全性は確立しています。保険適応で行われる治療になります。

内服薬

円形脱毛症の治療で使用される内服薬はステロイド、抗ヒスタミン薬、セファランチン、グリチルリチンがあります。
円形脱毛症の初期段階で脱毛範囲が比較的小さい場合にはグリチルリチン、セファランチンの内服療法がおこなわれており、脱毛範囲が広いという場合や難治性の脱毛症の場合にはステロイドの服用が行われます。
ステロイドは、脱毛している範囲が頭皮全体の25~49%以上であり、発症後6カ月以内で,急速に進行している事例に対して使用されています。汎発型、全頭型、蛇行型という難治性の脱毛症に対しても、ある1つの研究結果では7割以上の頭髪回復効果が報告されています。ですが、ステロイド内服は、満月様顔貌などの身体への副作用が起こる可能性があり、長期的に投薬することができません。また、休薬後の再発率も多く、長期的な症状の改善や再発した場合の治療方法の確立が明確になっておらず治療が難航することもあります。
抗ヒスタミン薬とはアレルギーに対して本来処方されることのあるお薬です。円形脱毛症の原因の1つとしてアトピーが関係していることが考えられています。そのため、抗ヒスタミン薬を使用することで円形脱毛症が改善されると考えられているのです。ただし、メインの治療として使用することは難しく単発型および多発型に対して他の治療と併用する形で使用することが勧められています。
セファランチンとはアレルギー反応を抑制するお薬です。発毛を促す効果は報告されていませんが、脱毛を抑制する効果が報告されており、長期的に臨床の現場でも使用されています。
グリチルリチン,グリシン,メチオニン配合錠(グリチロン)とは炎症やアレルギーを抑える効果があります。根拠としては他のお薬と比べて弱いのですが、臨床での実績があることから単発型や多発型に対して他の治療方法と併用して治療することが認められているのです。
ここでご紹介した内服薬はほとんどが保険適用ですが、抗ヒスタミン薬の場合は円形脱毛症の治療の場合は保険が効きません。

円形脱毛症と男性型脱毛症は全く違う疾患のため割愛しました。

紫外線療法

紫外線療法では、紫外線であるUVBの中でも皮膚の疾患に対する治療効果がある波長のものを照射します。十分な根拠がまだありませんが単発型や多発型の場合、他の治療と併用することで、脱毛範囲が縮小するということが報告されていることから、他の地利用方法の補助的な形で行うことが推奨されています。

円形脱毛症の回復期

円形脱毛症の方が上記の治療をすることでどのような回復の経過をたどっていくのでしょうか。

脱毛斑の一部に産毛が生えてくる

治療を始めると徐々にですが脱毛していた部分に薄い産毛が生えてきます。この産毛は鏡などを使って肉眼で確認することが難しく、皮膚科ではダーモスコピーという拡大鏡を使用して産毛が生えてきているかどうかの確認をします。
この産毛が診られれば発毛があり、治療効果があると判断して治療を継続していくのです。

脱毛斑に毛穴が見える

円形脱毛症の方でも毛穴が発毛をお休みしている状態なので、毛穴がなくなっているということではありません。ですが、毛髪が生えてきていないため、毛穴がないように見えているのです。円形脱毛症が回復してくると、毛穴の中に毛が生えてくるため、肉眼で毛穴が見えるようになります。

脱毛斑のまわりの髪を引っ張っても簡単に抜けなくなる

円形脱毛症の症状が進んでいる場合には、脱毛の部分だけでなく周りの髪の毛も引っ張るとかんたんに抜けてしまいます。ですが、回復期になると、周囲の髪の毛を引っ張ってもかんたんに抜けなくなるため、これが、脱毛症が回復してきているサインになるといえるでしょう。

円形脱毛症の進行を止めるためにも皮膚科に相談を

円形脱毛症は自然に治るということもありますが、進行してしまうと治療に時間がかかったり元の状態に戻るのが難しくなったりします。全体の2.5割以上抜けると、重症例になるため、早い段階で進行を止めることがおすすめです。円形脱毛症かもと思ったら早めに診療を受けることをおすすめします。
どこの診療科で診療ができるのかと疑問に持たれる方もいらっしゃいますが、円形脱毛症の治療は皮膚科ですることができます。円形脱毛症かもと思ったらお早めに皮膚科へご相談ください。

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監修医師

立花 義浩

資格
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医
麻酔科標榜医
日本医師会産業医
日本体育協会スポーツドクター
経歴
北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。

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