脂肪種

脂肪腫とは?

脂肪腫とは、脂肪細胞の良性腫瘍で、柔らかく痛みのない通常1から10㎝ほどの腫瘍で、正常な脂肪細胞が存在する部位のどこにでもできますが、体幹に多く見られ、よく見かける病気の1つです。

脂肪腫とは

脂肪腫の原因

脂肪腫発生の正確な原因は不明ですが、脂肪腫は、肥満、高脂血症、糖尿病をお持ちの方にできやすい傾向があります。

脂肪腫の症状

体表のどこにでもできますが、主に背中、肩、上腕などにみられます。
1cmくらいのしこりとして気付き、ゆっくりと増大します。
10cm以上になることもありますが、痛みなどの症状はないです。
稀に悪性のものや、筋肉より深くにできることがあり、大きいものなどは超音波検査、CT検査、MRI検査などを行うことがあります。

脂肪腫の治療法

脂肪腫は良性腫瘍なので、徐々に大きくなりますが、放置しても命に関わることはありませんが、大きくなってから手術をすると、手術のリスクが高くなり、傷跡が大きくなります。
もし悪性だった場合には治療の遅れが問題となる、などのリスクがありますのである程度の大きさになったものでは手術をする方がよいでしょう。

脂肪腫の治療は手術による摘出で、脂肪腫は被膜と呼ばれる薄い膜があるものと、被膜がないものがあり、被膜がある脂肪腫は、摘出することができるため、小さな切開で切除することができます。
被膜がないものは周囲と癒着していることがあるため、脂肪腫の大きさと同じ程度の切開を要することがあります。手術はなるべく短い傷になるようデザインして、腫瘍を摘出し創部を縫合します。
大きい脂肪腫を切除したときは、手術後の血腫を予防するためにドレーンと呼ばれる血抜きの管を挿入する場合もあります。

  • 皮膜があるときの皮膚切開(脂肪腫の半分以下の大きさ)
  • 皮膜がないときの皮膚切開(脂肪腫に近い大きさ)
  • 周囲を剥離して脂肪腫を摘出します
  • 真皮縫合と皮膚縫合の2層で丁寧に縫合します

脂肪腫と粉瘤・悪性腫瘍の違い

粉瘤との違い

脂肪腫は脂肪細胞が増殖してできる柔らかいしこりで、通常は痛みがなく皮膚と癒着していません。
一方、粉瘤(アテローマ)は皮膚の下に袋状構造ができ、中央に黒い点(開口部)があることが多く、押すと臭い内容物が出ることが特徴です。

悪性腫瘍(脂肪肉腫)との違い

脂肪腫は基本的に良性ですが、稀に悪性腫瘍(脂肪肉腫)の可能性があります。
以下のような場合は早めの受診をおすすめします。

  • 急速に大きくなる
  • 痛みやしびれを伴う
  • 10cm以上に成長している
  • 固く動かない感触がある

CTやMRI検査で評価し、必要であれば専門病院へ紹介します。

脂肪腫を手術しないとどうなる?

脂肪腫は放置しても命に関わることはありませんが、

  • 徐々に大きくなる
  • 大きくなると神経や血管を圧迫し、痛みやしびれが出ることがある
  • 可動域が制限されることがある
  • 手術時に大きな切開が必要になり、傷跡が目立つ

このため、気になる場合は小さいうちに摘出することをおすすめしています。

脂肪腫手術の痛み・麻酔について

麻酔方法

局所麻酔が基本(表在性の脂肪腫の場合)
筋肉より深い場合やサイズが大きい場合は全身麻酔が必要になることもあります。

術中・術後の痛み

手術中は麻酔が効いているため痛みはほとんどありません。
術後は軽い痛みや違和感が数日間ありますが、市販の鎮痛剤でコントロール可能な場合がほとんどです。

手術後の生活・ダウンタイム

シャワー:当日または翌日から可能(患部は濡らさないようにする)

  • 入浴:抜糸後または医師の許可が出てから
  • 通勤・通学:翌日から可能なことが多い
  • 運動:術後1~2週間程度は激しい運動を控えてください

※詳細は手術当日に医師より説明します。

脂肪腫の再発について

脂肪腫は完全に摘出すれば基本的に再発しません。
ただし、もともと多発する体質(多発性脂肪腫症)の方は別の場所に新たにできることがあります。

よくある質問Q&A

脂肪腫は自分で押して小さくできますか?

A. 押しても小さくなることはなく、無理に押すと周囲組織を痛める可能性があるためやめましょう。

ダイエットで脂肪腫は小さくなりますか?

A. ダイエットで体脂肪が減っても、脂肪腫の大きさには影響ありません。

切除後の傷跡は目立ちますか?

A. 個人差はありますが、時間とともに目立たなくなることがほとんどです。
術後のケア方法も説明いたします。

悪性だった場合はどうなりますか?

A. 稀ですが脂肪肉腫と診断された場合は、切除範囲拡大や化学療法などの専門的治療が必要となります。当院で診断後、専門医療機関へご紹介いたします。