皮膚科のトレチノインはシミに効果的?使い方やハイドロキノンとの違いは?

シミは、老けた印象や疲れた印象などのマイナスイメージを与えてしまうため、悩んでいる方も少なくありません。
トレチノインは、そんな多くの方を悩ませているシミの改善を期待できる治療薬として注目を集めています。
本記事では、シミ治療薬のトレチノインについて、効果や使い方、治療の流れまで詳しく紹介します。
トレチノインの使用時の注意点と副作用についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
トレチノインとは?

トレチノインとは、正式には「オールトランスレチノイン酸」という名称で、ビタミンA(レチノール)誘導体のひとつです。
肌のターンオーバーを強力に促進し、シミを含めてさまざまな肌トラブルの改善に用いられています。
トレチノインの生理活性はビタミンAの約50~100倍で、ビタミンA類の体内での生理活性の本体そのものです。
トレチノインは、もともと血液中に微量に存在している成分なので、アレルギー反応や抗原抗体反応を起こすことはありません。
米国では、ニキビ治療への効果やしわ・光老化への効果などからFDA(米国食品医薬品局)に認可されています。
シミに対するトレチノインの効果

トレチノインの主な効果・作用は、以下の通りです。
トレチノインの効果・作用
- 肌のターンオーバーを促進する働き
- コラーゲンやエラスチンの生成作用
- 皮脂腺の機能低下・皮脂の分泌を抑える
トレチノインには、これらの効果・作用により、さまざまな肌トラブルを改善に導きます。
トレチノインで効果が期待できる肌トラブルは以下の通りです。
- シミ
- しわ
- ニキビ、ニキビ跡など
ここからは、シミに対するトレチノインの効果について詳しく解説します。
どんな種類のシミに効く?
トレチノインは、シミの改善に効果が期待できますが、すべての種類のシミに効くわけではありません。
トレチノインを用いた治療で効果が期待できるシミは、皮膚の表面にできるシミです。
トレチノインで効果が期待できるシミの種類
- 老人性色素斑(日光性色素斑)
- 炎症後色素沈着
- そばかす
- 肝斑
- 扁平母斑など
トレチノインが効果を示しにくいのは、肌の深い層にメラニン色素が沈着することでできるシミです。
- 太田母斑
- 異所性蒙古斑
- 老人性ゆうぜい
- 後天性真皮メラノサイトーシス など
トレチノインでシミを改善するためには、シミの種類を正確に診断し、一人ひとりの肌の状態に合わせた適切な濃度や使用方法で治療を行うことが重要です。
シミに対するトレチノインの作用
シミの主な原因は、メラニン色素の過剰な生成や蓄積です。
本来、メラニン色素は肌のターンオーバーで古い角質などと一緒に排出されますが、ターンオーバーの乱れなどが原因でメラニン色素が排出しきれず肌に蓄積されることにより、シミになってしまいます。
肌のターンオーバーとは、肌の細胞が一定の周期で新しく生まれ変わる仕組みのことを指しますが、ターンオーバーの周期は年齢や生活習慣などによっても異なります。
トレチノインを用いて治療を行う場合、ターンオーバーを促す作用によってターンオーバーの周期が早まり、沈着してしまったメラニン色素も排出されやすくなるのです。
効果を実感できるまでの期間と変化の目安
トレチノインを用いたシミ治療は、比較的早い段階で効果を実感することが可能です。
ただし、肝斑や扁平母斑は、もう少し治療に時間を要することがあります。
一般的には、2〜4か月程度が治療期間の目安とされます。
効果を実感できるまでの期間と変化の目安は、以下の通りです。
使用期間 | 肌の変化と効果の目安 |
---|---|
1~2週目 | 【好転反応(A反応)の出現】 ・赤み、皮むけ、乾燥、ひりひり感、かゆみなどのレチノイド反応が出ることが多い →この段階ではまだシミの変化が感じられないケースも多いが、トレチノインの効果が出始めている状態 |
3~4週目(1か月前後) | 【好転反応の落ち着きと変化の兆し】 ・シミの周囲の角質が剥がれやすくなり、肌のトーンが明るく感じられる →薄いシミや炎症後色素沈着が少しずつ薄くなる |
5~8週目(2か月前後) | 【本格的な効果の実感】 ・濃いシミにも少しずつ明るさの変化が出始める →ターンオーバーが安定し、色素沈着の定着が抑えられる |
9~12週目(3か月前後) | メラニンの排出が本格化し、シミが明らかに薄くなる |
シミ治療では、トレチノインだけでなく、ハイドロキノンなどを併用することでよりはっきりした効果が期待できます。
トレチノインの使い方と治療の流れ

トレチノインは非常に強力な作用がある成分です。
強力な成分ゆえに副作用もあるので、トレチノインの使用には注意が必要です。
トレチノインの治療の流れ
- カウンセリング
- クリニックに予約を行い、カウンセリングを受けましょう。カウンセリングでは、シミの種類や肌の状態を医師が確認し、トレチノインを用いた治療が適しているか判断します。治療の効果や期間、費用、副作用などに関して説明を受けますが、その際に疑問や不安がある場合には医師に相談してください。
- 治療開始
- トレチノインを用いた治療の説明に納得できたら、治療スタートです。
医師の指示のもと適切な濃度のトレチノインが処方されます。自己判断で使用せずに、塗布のタイミングから量まで、医師の指示通りに使用してください。
- 経過観察・再診
- 2~4週間ごとにお肌の状態の確認を行います。副作用が強い場合は頻度や濃度の調整を指示されることがあります。
- 治療終了・メンテナンス
- シミの改善次第治療は終了となります。
トレチノインを用いた治療をスムーズに行うためにも流れをしっかりと理解しておきましょう。
塗る頻度・量・タイミング
トレチノインを塗る頻度・量・タイミング
- 頻度:1日1~2回
- 量:患部に薄く塗布
- タイミング:朝・晩(1日1回の場合:晩)
トレチノインの使い方を紹介します。
トレチノインの使い方
- トレチノインを使用する前に洗顔を行う
- 洗顔料をよく泡立てて優しくなでるように洗いましょう。メイクをしている場合は、洗顔前にクレンジング材でしっかりとメイクを落としてください。
- スキンケアを行う
- 化粧水や乳液、保湿クリームを使用し、しっかりと肌を保湿してください。
この際にビタミンC誘導体ローションを使用することも可能です。
※ビタミンC誘導体ローションは必須ではありませんが、トレチノインと一緒に使用することで美白の相乗効果が得られます。
- トレチノインを塗布
- トレチノインをシミ部分に薄く塗布してください。トレチノインは、分解が早い医薬品のため、使用後は冷蔵庫で保管しましょう。
日中は、日焼け止めクリームやUVカットの化粧下地などを使って紫外線対策を徹底しましょう。
クリニックでの処方と市販薬の違い
トレチノインは、日本では“医薬品”として扱われるため、医師の処方が必要となります。
そのため、ドラッグストアなどで市販薬として購入することはできません。
海外の通販サイトから個人輸入で購入することは不可能ではありませんが、粗悪品や偽造薬が届く危険性があるので、注意が必要です。
また、海外の通販サイトを利用してトレチノインを個人輸入する場合でも、必ず医師の同意書が必要になることを覚えておきましょう。
トレチノイン使用時の注意点と副作用

トレチノインを使用するときの注意点として挙げられるのが、「レチノイド反応(A反応)」という副作用です。
トレチノインは、もともと血液中に微量に存在している成分なので、アレルギー反応や抗原抗体反応を起こすことはありませんが、一時的な肌の副作用としてレチノイド反応が起こる可能性があります。
レチノイド反応
【症状】赤み・皮むけ・乾燥・ひりひり感・かゆみなど
【発現時期と期間】治療開始後数日〜1週間程度で現れることが多く、数週間〜1ヶ月程度がピークとなり、その後徐々に肌が慣れて症状は落ち着いていきます。
レチノイド反応は、トレチノインが肌のターンオーバーを急激に促進することで起こる現象で、トレチノインが肌に作用し、ターンオーバーが促進されている証拠のひとつともいえます。
症状が出た場合、軽度であれば保湿を徹底したり、塗布の頻度を落としたりすることで対処することが可能です。
ただ、症状が強く出てしまい、日常生活に支障をきたす場合には、一時的に使用を中止して、医師に相談してください。
日焼け対策は必須
トレチノインの使用中は、日焼け対策が必須です。
トレチノインは、肌のターンオーバーを促進する作用があり、ターンオーバーの周期が早まります。
その際に、皮膚のもっとも外側にある角質層が一時的に薄くなるため、肌のバリア機能が低下してしまいます。
通常よりも肌が無防備な状態となり、紫外線のダメージを受けやすくなるため、トレチノインの使用中は日焼け対策が欠かせないのです。
紫外線対策を怠ったまま紫外線を浴びてしまうと、メラニンが増えてしまい、逆にシミが濃くなってしまう恐れもあるので、十分注意しましょう。
敏感肌や乾燥肌の人の使用は要注意
トレチノインは強力な成分であるため、とくに敏感肌や乾燥肌の人は使用に注意が必要です。
敏感肌・乾燥肌の人がトレチノインに注意すべき理由
- 肌のバリア機能が弱っている
- レチノイド反応(A反応)が強く出やすい、または長引きやすい
- 炎症後色素沈着のリスクが高まる
敏感肌や乾燥肌の人がトレチノインを使用する場合は、自己判断せずに必ず医師に相談してください。
治療開始時には、低濃度・短時間からスタートし、保湿や紫外線対策を徹底して行いましょう。
トレチノイン治療を始める前に知っておきたいこと

トレチノイン治療を始める前に以下のことを知っておきましょう。
トレチノイン治療を始める前に知っておきたいこと
- レチノイド反応はほぼ必ずある
赤み・皮むけ・乾燥・ひりひり感・かゆみなどの一時的な副作用が、使用開始後1〜2週間で出ることが多い。レチノイド反応は肌が反応している証拠で、ほとんどの場合数週間程度で治まる - 日焼け対策は必須
トレチノインの使用中は肌のバリア機能が低下するため日焼け対策が必要 - 妊娠中・授乳中は使用NG
トレチノインは胎児への影響が懸念される
トレチノインは、強い作用が期待できる成分ですが、一時的な副作用であるレチノイド反応がほぼ必ず発生します。
しかし、それは肌が反応している証拠であり、数週間程度で自然に治まるので、安心してください。
ただ、トレチノイン使用中は肌のバリア機能が低下するため、日焼け対策を徹底する必要があります。
また、妊娠中・授乳中の方は、胎児への影響が懸念されるため、トレチノインを用いた治療を行うことができないことを覚えておきましょう。
治療期間と費用の目安
トレチノインの治療期間の目安は、1~3か月程度です。
トレチノインは基本的に保険適用外の自由診療となるため、クリニックによって費用は異なりますが、費用の目安は1か月に10,000~30,000円程度となります。
トレチノインとハイドロキノンの違いについて

トレチノインとハイドロキノンは、どちらもシミ治療に用いられる代表的な成分ですが、作用や役割が異なります。
トレチノインとハイドロキノンの違いは、以下の通りです。
項目 | トレチノイン | ハイドロキノン |
---|---|---|
分類 | ビタミンA誘導体 | 美白成分 |
主な作用 | ・ターンオーバーを促進 ・コラーゲンやエラスチンの生成 ・皮脂腺の機能低下、皮脂の分泌の抑制 | ・メラニン色素の生成抑制 ・メラノサイトへの細胞毒性 ・メラニンの還元作用 |
シミへの働き | メラニンの排出 | メラニンの生成をブロック |
トレチノインは、肌のターンオーバーを促進して、メラニンを排出することで、シミを改善することが可能です。
対してハイドロキノンは、メラニンの生成を抑制することで、シミの予防・改善を行います。
併用して使用はできる?
トレチノインとハイドロキノンは、併用して使用可能です。
2つの成分は、互いの効果を最大限に引き出すことができるため、シミや色素沈着に非常に効果的な治療法だと言われています。
ただ、どちらの成分も作用が強力であるため、正しく使わないと副作用や悪化のリスクがあります。
トレチノインとハイドロキノンを併用して使用したい場合は、必ず医師の指導のもとで行いましょう。
まとめ

今回の記事のポイントは、以下の通りです。
- トレチノインは、ビタミンA誘導体のひとつで、生理活性はビタミンAの約50~100倍
- 肌のターンオーバーを強力に促進させる作用がある
- トレチノインを用いたシミ治療は、比較的早い段階(2か月程度)で効果を実感することができる
- 治療時にはレチノイド反応はほぼ必ずあるが、それは肌が反応している証拠
- トレチノイン使用中は肌のバリア機能が低下するため、紫外線対策が必須
トレチノインは、肌のターンオーバーを促進させる作用があり、シミ治療では比較的早い段階で効果を実感できるのが特徴です。
ただ、トレチノインで効果が期待できるのは皮膚の表面にできるシミで、肌の深い層にできるシミには効果を示しにくいので、注意が必要です。
また、トレチノイン治療時には、ほぼ必ず一時的な肌の副作用としてレチノイド反応がでますが、それは肌が反応している証拠で、数週間程度で自然に治まります。
トレチノイン使用中は肌のバリア機能が低下するため、紫外線対策や保湿などが重要になることを覚えておきましょう。
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監修医師
立花 義浩
- 資格
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日本医師会産業医
日本体育協会スポーツドクター
- 経歴
- 北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。
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