シミ対策としてのシミクリーム|MBC麻布十番(皮膚科)

シミは美白クリームで薄くなる?

シミを薄くしたいと考える方は、シミが薄くなるというフレーズで売られている美白クリームに頼りたいと思う方も多くいらっしゃるかもしれません。
美白クリームでシミを薄くすることは可能ですが、そのポイントはシミの種類と美白クリームの成分にあります。
どのシミが美白クリームで薄くすることができ、どんな成分が有効なのでしょうか。

美白クリームで薄くできる可能性があるシミ

まずは、美白クリームで薄くすることのできる可能性が高いシミについてご紹介します。

老人性色素斑

さまざまな種類のシミの中でも比較的短期間で美白クリームの効果を実感できるシミです。老人性色素班の場合はより、確実にシミを薄くしたいと考えるならば、メディカルピーリングやレーザー治療を併用されることをおすすめします。また、老人性色素斑はレーザーによって早期にシミを改善できるという観点からレーザー治療をおすすめする医療機関もあります。レーザー治療の場合、レーザー治療後に炎症後色素沈着を起こす可能性もあるため、そういったリスクを回避したいという方は美白クリームを選ぶあるいは、レーザー治療と美白クリームを併用されるとよいでしょう。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着によるシミは、少し前まではすぐにシミを消すことが難しかったりそもそも効果が得られなかったりといった報告が多くみられました。ですが、近年では、炎症後色素沈着に対しても美白クリームは有効であることが報告されています。特に、美白クリームの代表的な成分であるレチノール酸、ハイドロキノンを用いた治療による研究では、12週以上経過観察をした結果、87%の炎症後色素沈着に対して有効率であったことが分かりました。また、短期間での治療が可能なうえに、特に色素が強い場合に高い効果が得られています。

肝斑

肝斑は、女性ホルモンのバランスの乱れや、紫外線による影響、マッサージや化粧品自体の慢性的な刺激で発症すると言われています。そのため、普通のシミでは治療効果が期待できるレーザーによる治療方法によってかえってシミが悪化する可能性があると言われてきましたが、最近では非常に弱いパワーを均一に照射するレーザートーニングにより、シミの原因のメラノサイトを活性化させずに、少しづつ肝斑を薄くしていくことも可能になってきました。ですので、レーザー治療に不安を感じる方は、美白クリームの成分であるハイドロキノンやトレチノインが主な治療方法となります。
ですが、これらの美白効果のある薬剤を使用しても他のシミと比べてシミの改善は遅いという特徴があります。

そばかす

そばかすも美白クリームで比較的早く効果を得られるシミのひとつです。ですが、美白クリームのみでシミを改善することは難しく、他の治療と併用することが望ましいです。また、美白クリームを使用して治療をしたとしても再発をする可能性もあります。

美白クリームで薄くできない可能性があるシミ

 

脂漏性角化症

脂漏性角化症とは、老人性疣贅ともいわれ、中高年や高齢者に多く発症するイボのことを言います。大きさはさまざまで、イボという名前ですが盛り上がっていないものもあるため、シミと勘違いされる方も少なくありません。がん化することもなく、症状もないため人体への害はほとんどありません。治療は、凍結療法といい液体窒素で低温やけどを起こしてイボの芯を焼く治療法もしくはレーザーとなります。
脂漏性角化症は老人性色素斑と混同される方も多い皮膚疾患です。たまに、老人性色素斑だと思って美白クリームを使用していたが改善せず、結果的に脂漏性角化症だったということもあります。ですので、もしも美白クリームを使用していてもあからさまに改善している様子がなければ皮膚科を受診し、診察をしてもらうとよいでしょう。

花弁状色素斑

花弁状色素斑でも美白クリームを使用して効果がゼロではありません。ですが、レーザー治療の方が高い効果が得られるとしているため、早く花弁状色素斑によるシミを改善したいと考えるならば美白クリームではなく、レーザー治療などの治療を選択されることをおすすめしています。

他にも生まれつきあるシミ(色素性母斑)や黒いほくろについては、美白クリームを使っても薄くすることはできません。

シミ対策の美白クリームの選び方

シミの対策をすることを謳う美白クリームにはいろいろなものが販売されています。その中でも医療的な観点から特にシミ対策に高い効果を発揮するための美白クリーム選びのポイントをご紹介します。

有効成分とその成分の配合量

シミに対して高い効果が期待できる成分はハイドロキノンとトレチノインです。ハイドロキノンは、シミの原因であるメラニン色素の合成を阻止する働きがある成分で、高い美白効果が期待されています。少し前まではハイドロキノンには規制があり、医師の処方でしか使用することができませんでした。しかし、2001年に規制が緩和したことにより、メーカーの責任で、化粧品として一般販売をされるようになりました。ハイドロキノンは、厚生労働省は2%までは市販で販売してよいものとしています。ですが、2%程度では効果が低いともいわれています。
トレチノインとは表皮の深い層にあるメラニン色素を外に出す働きのある成分です。表皮の細胞を活発に増殖させ、表皮細胞とメラニンを外に押し出してくれます。
この2つの成分は医療機関でもシミの治療に用いられるお薬ですので、この成分が入っているものは美白クリームとしてシミに対して高い効果を発揮することができます。
そのため、シミに効果のある美白クリームを選ぶならばこの2つの成分が入っているものを選ぶとよいでしょう。

使い続けられるコスパ

シミ対策の美白クリームは数回つければ効果が出るというわけではなく継続して使い続けることが必要です。医療機関で処方される美白効果のある薬剤であっても2ヶ月ほどは使い続けなければ効果を実感することはできません。ですので、使い続けることが必要です。
使い続けるためには使い続けやすいコスパであることも重要です。そのため、高い美白クリームを短期間使用するのではなく、コスパの良い美白クリームを継続して使うことをおすすめします。

医療の力でシミを薄くする方法

医療の力でシミを薄くするためにはどうしたらよいでしょうか。

シミの相談は皮膚科に

まず、シミができて治療をしたいと考える場合には皮膚科へ相談してください。ここまでご紹介したようにシミにはさまざまな種類があり、シミによって効果的な治療方法があります。美白クリームを使用しただけではシミを薄くすることはできるかもしれませんが完全に消すことはできません。また、ご紹介した美白クリームの成分は医療機関でも使われているものですので肌に合わなかったり副作用が出てしまったりすることもあります。そのためシミに悩んでいるという方はまず皮膚科に相談されることをおすすめしています。

シミの対策はレーザー治療

近年レーザー治療はすさまじく進歩をしています。そのため以前までのレーザー治療では治すことが不可能だった難治性のシミや今まではレーザー治療で治すことが不可能だった肝斑に対しても治療効果が期待できます。そのため、早くシミを薄くしたいという方やシミを完全に消したいという方にはレーザーで治療をされることをおすすめしています。シミに対するレーザー治療は皮膚科へご相談ください。

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監修医師

立花 義浩

資格
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医
麻酔科標榜医
日本医師会産業医
日本体育協会スポーツドクター
経歴
北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。