ニキビの正しい治し方|MBC麻布十番(皮膚科)

皮膚科でできるのニキビ治療の流れ

まずは、皮膚科でニキビの治療はどのように行うのかを見ていきましょう。ここでは、ニキビ治療を今回初めて受けられる方のニキビ治療の流れをご説明させていただきます。

生活習慣や経過の問診

まずは、ニキビができた時期やどのような経過をたどっていったのかについて詳しくお伺いします。今回できてしまったニキビについてお伺いするのはもちろんですが、同じ部位に繰り返しニキビができている場合にはその部分に最初にニキビができた年齢や、そのほかに繰り返しニキビができるのはどの部分であるのかについてもお伺いします。過去のことですので詳しく覚えていないという方は分かる範囲で構いません。また、ニキビができるのは生活習慣や体調も関係してきます。特にストレスや睡眠時間、食生活、スキンケアなどニキビができる原因となる生活習慣や、ニキビが悪化する生活習慣については詳しくお伺いさせていただきますので詳しくお答えください。分からないものや言いたくないものに関してはお答えしなくてもかまいません。又、女性の方の場合には、月経周期にあわせて性ホルモンのバランスが変わるため、月経前後でニキビの悪化がみられることがあります。

ニキビ治療薬の説明・処方

ニキビの経過や生活習慣についてお伺いした後に、医師がニキビの状態から治療薬を選択し、処方をします。ニキビ治療薬については正しい量や、正しい塗り方、注意してほしい点について詳しく説明をさせていただきます。処方されるニキビ治療薬の種類については次の項をご覧ください。

生活上のアドバイス

ニキビが悪化する要因には生活習慣も関係していますので、生活上のアドバイスもさせていただきます。問診でお伺いさせていただいた生活習慣を参考に、ニキビの治療および改善のために改善していただきたい生活習慣、あるいは、ニキビの早期改善のために取り組んでいただきたいことについてアドバイスさせていただきます。
生活上のアドバイスの基本的な内容についてはこの記事の最後の項目にも記載しておりますので参考にしてみてください。

保険適応ができるニキビ治療薬・施術

次に保険が適用されるニキビの治療について詳しく解説していきます。

外用過酸化ベンゾイル製剤(塗り薬)

過酸化ベンゾイルは、角質をはがし毛穴のつまりを改善する作用と、ニキビの原因菌となるアクネ菌に対して殺菌作用を有するお薬です。皮膚科で処方させていただくお薬は、過酸化ベンゾイルのみが含まれるお薬ではなく、クリンダマイシン、またはアバタレンというお薬との配合剤が処方されることもあります。
炎症性のニキビに対しての効果があるだけでなく、面皰と呼ばれるニキビの初期段階、いわゆる白ニキビと呼ばれる段階やニキビの炎症が治まり快方に向かっている寛解の段階であっても効果があり、すべてのニキビに対して効果があるお薬です。
ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルという名称の薬剤が外用過酸化ベンゾイル製剤にあたります。
1日1回、洗顔後にニキビのできている部分に塗布をして使用します。副作用としてひりひりとした刺激感や塗った部分の皮膚が赤くなったり、乾燥して粉を吹いたりすることがありますので、少し注意が必要ですが、次第に和らいできます。

外用レチノイド(塗り薬)

外用レチノイドは皮脂によって詰まった毛穴を改善する作用と抗炎症作用を持つお薬です。
アダパレン、ディフェリンゲルという名称の薬剤が外用レチノイドにあたります。ニキビの初期段階から、炎症を起こした赤いニキビ、ニキビの炎症が落ち着いた後の快方に向かう時期や、ニキビの予防などほぼすべての周期のニキビに対して効果があるお薬です。抗菌薬などと併用して使用することも可能ですので、ニキビの状態によって他のお薬と一緒に処方されることがあります。1日1回、洗顔後にニキビのできている部分に塗布します。副作用として、ひりひりとした刺激感や塗った部分の皮膚が赤くなったり、乾燥して粉を吹いたりすることがありますので、少し注意が必要ですが、次第に和らいできます。しっかりと保湿をすることで刺激感がいくらか和らぎます。
すぐに効果が見られるお薬ではありませんが3ヶ月を目安に効果が目に見えて実感できるでしょう。

抗菌薬(塗り薬/飲み薬)

抗菌薬とは菌に対して作用するお薬で、ニキビの原因となるアクネ菌の活動を抑制することで、炎症を抑えていきます。主に、炎症を起こしている赤ニキビに対して処方され、炎症を起こしておらず、毛穴が詰まっているタイプのニキビでは処方されません。先ほどご紹介したお薬と併用することも可能で、一緒に処方されることもあります。塗り薬の抗菌薬ではクリンダマイシンやナジフロキサシンが処方され、飲み薬の抗菌薬ではミノサイクリンやドキシサイクリンという種類の抗菌薬が処方されることが多いです。抗菌薬は耐性菌というものを作りやすくなります。耐性菌ができてしまうと、その耐性ができた抗菌薬を使用しても治療効果が出てこなくなってしまいますので、耐性菌を作らないためにも抗菌薬は短期間で使用されることが多いです。
内服タイプの抗菌薬の場合、腸内細菌も攻撃してしまうという性質から下痢を引き起こしたり、お腹が緩くなったりすることもあります。過去に抗菌薬を服用してこのような症状が見られた方は、整腸剤などを一緒に服用することで、症状の出現を予防したり、軽くしたりといった効果が期待できるため、下痢の副作用が気になる方はあらかじめ医師へご相談ください。

漢方薬(飲み薬)

ニキビの治療に漢方薬が処方されることがあります。漢方薬は、他の治療であまり効果が見られない、あるいは他の治療が実施できない状況、もしくは、他の治療の補助的な役割として処方されることが多く、皮膚科においてニキビ治療のメインとして漢方薬が使われるということはほとんどありません。日本皮膚科学会によるニキビの診療ガイドラインにおいても漢方薬による治療の優先順位は低いとしています。

外用イオウ製剤(塗り薬)

外用イオウ製剤とはイオウ・カンフルローションという名前で流通しているお薬です。角質を柔らかくしたり皮脂の過剰分泌を抑制したりという効果が期待されています。ですが、このお薬は臨床試験がされていないため、治療薬として推奨する十分な根拠はありません。ですが、日本皮膚科学会の診療ガイドラインにおいては治療薬の選択肢のひとつとして推奨されております。

コメド(面ぽう)圧出

コメド圧出は保険適応内で行うニキビ治療の中で、唯一医師が直接行う治療となります。専用の器具を使って、毛穴の皮脂を取り除いて毛穴の詰まりを改善したり、膿を持ったニキビに対して膿を優しく押し出し、ニキビを治していく方法です。

ニキビができる原因とは

次になぜニキビができてしまうのか、ニキビの原因について解説していきます。

栄養バランスの崩れによるビタミンB群の不足

栄養バランスの乱れはニキビの原因につながります。栄養バランスの乱れがニキビの原因につながる理由は2つあります。
1つは、脂質の過剰摂取です。糖分や油分をたくさん摂ることで、脂質が過剰に分泌されるようになり毛穴を詰まらせる原因となります。もう1つはビタミンB群の不足です。ビタミンB群は皮脂の過剰分泌を抑えたり、皮脂の分泌量をコントロールしたり皮膚の炎症を抑えたりする効果が期待できます。ビタミンB群が不足することによって皮膚の環境が悪くなり、ニキビができる原因となります。ビタミンB群の摂取量が不足するだけが原因ではありません。例えば、糖分の代謝にはビタミンB群を大量に消費するため、自然とビタミンB群が体内で不足してしまい、ビタミンB群の不足へとつながっていくのです。

睡眠リズムの乱れ

ニキビの原因となる皮脂の分泌はホルモンによって制御されています。睡眠不足や昼夜逆転の生活をすることで、ホルモンバランスが乱れてしまい、その結果、皮脂の分泌がコントロールできなくなります。

皮脂のとりすぎによる乾燥

顔がてかっていると、ティッシュなどで皮脂をオフする方も多いのではないでしょうか。皮脂は、肌の乾燥を守る役割があります。そのため、皮脂を過剰にとりすぎてしまうと肌が乾燥し、皮脂が過剰に分泌してしまいます。そうすると、過剰に分泌した皮脂が毛穴を詰まらせてニキビができる原因となってしまいます。

ストレス・ホルモンバランスの乱れ

ストレスがかかると、ホルモンバランスを乱す原因となります。ストレスを感じると男性ホルモンであるアンドロゲンの分泌量が体内で増加していきます。アンドロゲンは皮脂の分泌量を増加させるためストレスがかかると皮脂の分泌量が増加して毛穴を詰まらせ、ニキビの原因となってしまうのです。

紫外線・大気汚染

紫外線や大気汚染は肌にとって刺激となります。この刺激を防ぐために肌の角質は厚くなっていくのですが、角質が厚くなると毛穴が詰まりやすくなります。詰まった毛穴から皮脂が排出されにくくなるため、その結果、ニキビができやすくなってしまうのです。また、紫外線を浴びたり、大気汚染を浴びたりすることで活性酵素が発生し、ニキビを悪化させてしまいます。

ニキビの改善と予防方法とは

ビタミンB2・B6の摂取

ビタミンB群の中でも特に摂取していただきたいのがビタミンB2とB6です。ビタミンB2はニキビの原因となる皮脂の過剰分泌を抑え、皮脂の分泌量をコントロールしてくれる効果が期待できます。また、ビタミンB6は皮膚の炎症を予防してくれる働きがあるため、積極的に摂取していただきたいものです。ビタミンB群は水溶性ビタミンといい体内で蓄積しておくことができず、水に溶けて尿などで流れてしまうため毎日継続して摂取することをおすすめします。食品で摂取することはもちろんのこと、サプリメントを活用するのも良いでしょう。

洗顔後の化粧水などの正しい保湿ケア

乾燥による皮脂の過剰分泌を抑制するためには正しく保湿ケアをすることが必要です。
1日2回の洗顔をした後に保湿ケアを行いましょう。保湿ケアに使用する化粧水は、ノンコメドジェニック、あるいはハイポコメドジェニックと明記されたものがおすすめです。また、ニキビ専用の化粧水を使用することもおすすめです。

しっかりとした入浴とスムーズな睡眠

忙しいとついシャワーで済ましてしまいがちですが、入浴をしっかりとすることは実はニキビの改善や予防にも効果的です。入浴をして毛穴を開いて皮脂を押し出すというよりも、入浴をして質の良い睡眠をとり、ホルモンバランスを整えることで、ニキビの予防や改善に効果があります。就寝の2~3時間前の入浴は寝つきを良くするためスムーズな睡眠に移行でき、ホルモンバランスを整えることにつながります。

ニキビを触らない・潰さない

ニキビができると、気になって触ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。ニキビを触ったり潰したりすることでニキビを悪化させる要因となります。ニキビ皮脂を完全に取り除くことができなければ、いったん潰しても再度ニキビができてしまいます。それだけではなく、ニキビを中途半端につぶすとニキビをかえって悪化させることもありますし、皮膚の下で破裂をすればニキビ跡の原因となることもあります。そもそも指自体が不潔であるため、指でつぶしたり触ったりすることで、ニキビが悪化しやすくなるのです。

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監修医師

立花 義浩

資格
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医
麻酔科標榜医
日本医師会産業医
日本体育協会スポーツドクター
経歴
北海道大学精神医学教室、北海道大学救急医学教室、東京慈恵医大救急医学教室にて修練を重ねた経験をもつ。また、銀座にて美容皮膚科医として、都内皮膚科クリニックにて、皮膚科医としての勤務経験をもつ。